目次
見積依頼Request for Quotation
見積依頼Request for Quotationは、購買調達担当者の作業プロセスにおいて不可欠なステップです。見積依頼は会社が必要な商品やサービスを購入したいときに、サプライヤーに見積依頼します。
サプライヤーを選択した後、そのサプライヤーが実際に希望価格通りに生産できるかどうかを確認する必要があります。それらの精査から、サプライヤーとの関係の構築し始まります。
見積依頼があったとき、通常は最初にすぐにサプライヤーに連絡します。通常の依頼であり、購入したい商品が標準品である場合、サプライヤーにとって問題は少ないでしょう。しかし、新製品の開発においては、サプライヤーが見積もり作業を行いやすいように、十分な資料を提供することが重要となります。
信頼できるサプライヤーはお客様の身になって、本当に必要なオプションかどうか的確なアドバイスができます。しかし発注側のニーズを書面で確認することと、価格、支払条件等を明記することは認識の違いに よるトラブルを防止でき、大切なポイントと言えます。
将来的に購買とサプライヤー間で意見の相違や品質認識の違いが生じないよう、正確な見積もり資料を準備することが重要です。作成にあたっては以下の主要な項目を含むことを考慮すべきです。
1.品名と品番
見積もり依頼項目の「品名」と「品番」は、見積もり依頼書に記載すべき基本的な情報です。見積を依頼する際は、依頼項目を箇条書きで正確に書き、相手に明確に伝わるよう、なるべく詳しく記載することを心がけましょう。サプライヤーは、見積もり対象の製品をどのように呼称するかを知ることで、認識の違いによるトラブルを防止できます。これは「品名」とそれを表す「品番」であり、将来の追跡や検索の際の迅速な確認のための基準となります。
2.数量
MOQ(最低発注数量)は、国際取引において見積書に記載されることが多い用語です。MOQとは、サプライヤーが商品を販売する際に、購買側が注文しなければならない最小限の数量を指します。
サプライヤーは購入側からの注文数量の情報に基づき、価格計算します。年間、季節、月ごとの需要量や、注文ごとの数量、製品のライフサイクル全体の需要量を明記します。例えば10個、1,000個、10,000個、100,000個などのように示されます。加えて、各注文時のおおよその「注文数量」や製品の「ライフサイクルの総需要量」も含まれます。これにより、サプライヤーは需要量と定期購買サイクルを理解し、自社の生産能力が対応可能かどうかを分析することができます。
中国のサプライヤーは、日本のバイヤーと取引する際に最低取引数量(MOQ)を設定することが多いです。例えば、MOQが1コンテナと設定される場合もあります。最低取引数量はサプライヤーによって異なりますが、通常は数量ベースまたは金額ベースで決められます。海外取引は日本国内の取引とは異なり、方法や時間、手間がかかるため、コストに見合う一定以上の価格や数量を設定することをお勧めします。
3.仕様書
見積書に記載される価格は、材料費、加工費、不良率、輸送費などが設計内容によって変動します。見積依頼の際に、購入側の要求品質などを記載した仕様書を添付することで、サプライヤーは要求仕様に基づいた価格を算出しやすくなります。仕様書は購買製品の品質を記述するためのツールであり最新バージョンの設計図面、テスト仕様、材料仕様、サンプル、色板など、見積もりに必要なすべての情報を含めます。海外の場合、元の言語が英語以外であれば、英語訳も添付します。電子ファイルで提供する場合は、国際的に共通のファイル形式(DWG、IGES、DXF、PRO/Eなど)で提供し、紙の図面も同時に提供します。
4.品質を証明する管理書類
商品規格書、試験成績書、検査成績書は、製品の品質を証明するための重要な品質管理書類です。出来上がった製品の品質が要求される各種の規格に合致したものであることを証明するための重要な書類です。
製品やその材料の品質が保証されていることを伝えることは、納入側にとって信頼を得ることにつながり、購入側にとっては安心感を提供します。
購買担当者は、製品やサービスの特性に応じて、複数の方法を組み合わせて品質要求を完全に表現する必要があります。購入側がイメージした通りの商品を仕入れるためには、進捗管理や品質管理が非常に重要です。
5.見積もり基準
見積もりの基礎には、「通貨」と「貿易条件」が含まれます。中国国内取引は通常、人民元での取引であり、出荷価格または到着価格(運賃が含まれるかどうかは別途協議)で計算されます。国際取引の場合、見積もり通貨は通常米ドルが基準となります。インコタームズとは輸出者と輸入者の危険負担、費用負担を明確にするための貿易上のルールです。貿易条件には、Ex-Work(工場渡し)、FOB(本船渡し)、CIF(運賃・保険料込み渡し)などがあり、契約条件によって売買双方の責任とリスクが異なります。
6.支払い条件
支払い条件については、売買双方がそれぞれの支払い基準を持っています。買い側とサプライヤーと交渉して成立することが多いです。例えば、金型の購買では、通常「段階的支払い」の方式を取り、注文時に30%、初回試作時に30%、検収時に40%という具合です。支払い条件には、支払い日を明確に記載する必要があります。
4.梱包条件
梱包条件は見積もりに大きく影響し、梱包容器の素材や形態によって様々な種類に分けられます。サプライヤーから専用の梱包材を使用した荷物を発送することが多いですが、商品によっては輸出に適した緩衝材や木箱を使うなど、日本注文側と異なる梱包材を利用することが考えられます。どのような荷姿で輸出するのかを検討の上、サプライヤーと交渉して決定する必要があります。
5.運送地点と納品方法
運送先の国、都市、住所、連絡先を明記します。国内取引では鉄道や道路を使用し、国際取引では海運や空運が一般的です。
6.アフターサービスと保証期間
サプライヤーは保証期間を設けて、基本的なアフターサービスを提供します。特別な要求がある場合、例えば保証期間の延長やアフターサービスの内容変更、それらを明記します。
中国サプライヤーに見積依頼をする場合は中国通訳をいちいち介した交渉は、通訳が単なる伝達役に過ぎないことが多く、交渉がうまく進まない場合がほとんどです。その結果、お互いの信頼が損なわれ、長期的な良好な関係を維持することが難しくなってしまいます。
価格交渉は、中国企業と取引において、避けて通ることができません。購買部門の最大の使命は、質の高い資材を、より低い価格で仕入れることにあります。コストベースの交渉は優れた合意を生みます。交渉前の準備が成功の鍵です。
。
価格交渉はサプライヤーとのコストの合意だけでなく、双方が利益に満足するかどうかも重要です。コストベースの交渉を成功させるには、サプライヤーのコスト構成を完全に理解し、これを分担する意欲を持ち、業界規範を理解し、目標価格を設定する必要があります。商品やサービスの価格が適正かどうか、少しでも安く仕入れることができるかどうかを考慮しながら価格を決定します。会社の収益に影響する部分なので慎重に決定していきます。
ジェトロ(日本貿易振興機構) 輸出価格の算定方法