弊社は多くの中国での購買と調達を行っており、多くのトラブルや想定外の出来事に直面してきました。今回は、自身の復習も兼ねて、国際取引に度々登場する専門用語をいくつかピックアップしてまとめました。この文書が、海外仕入れに従事している人や、この分野に関心を持ち始めた人のお役に立てれば幸いです。
1. 中国サプライヤーの開拓
1.1 中国サプライヤーの検索方法
(1) 税関データシステム
税関データシステムを利用して、取引情報を検索し、輸出国を選定します。一般的には使い捨て製品の輸入が多く、不完全な税関データシステムでも比較的検索しやすいです。HSコードまたは商品の英語説明を入力して検索します。
税関データを活用する大きなメリットは、輸入や輸出会社の特性が分かる外部データと紐づけることで、より綿密なデータ分析が行える点にあります。また、輸出企業の特徴を掴むことも可能になります。
- 中国海関総署:http://stats.customs.gov.cn/
- 中国海関統計年鑑
(2) 検索エンジンサイト
一般的に、検索エンジンサイトで顧客が指定または推奨するサプライヤーやブランドのサイトを検索できます。サイトで以下の点に注意してください:
1. 製品画像が完全か、工場の写真があるか
2. 会社に正規のウェブサイトがあり、検索可能か
3. 該当する連絡先に連絡が取れ、明確な協力意欲と見積もり意欲があるか
(3) その他の方法
仕入先の探し方は、上記の2つの方法以外に、業界紹介や見本市・展示会に訪問して探すこともできます。出会った企業の商品力、販売・納品状況、経営姿勢を見て優良仕入先を選びましょう。新規取引にはコストやリスクも伴いますが、妥協せずに良い仕入先を探すことが重要です。例えば、以下のような方法もあります:
1. 国際展示会:サプライヤーを開拓するために、展示会に参加し、興味のあるサプライヤーに訪問し、初期のRFQ(見積依頼)を行います。
2. 取引先、サプライヤーからの紹介:信頼できる取引先、同業者、金融機関、税理士、コンサルタントなどから仕入れ先を紹介してもらう方法もあります。ただし、紹介者にとって良い仕入れ先でも、自社に合うとは限りません。自社が何を重要視し、どんなサプライヤーを求めているのかを明確にすることで、仕入れ先の紹介の方向性を見極めることができます。適切に情報提供を行い、期待と現実の乖離が起きないようにしましょう。
3. その他のウェブサイト:中国の検索サイト(YIWUGOU、AICAIGOU)でサプライヤーを検索して情報を探すことができます。
2. 中国サプライヤーの選定方法
(1) 価格と品質の初期選定法
潜在的なサプライヤーを検索した後、初期選定を行います。サプライヤーの選定の最初であり、最も重要なのはQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の中、品質と価格から評価を始めます。
まず、自社のビジネスモデル、競合品目、どの製品を自社で生産し、どれを外部委託する方が利益の余地があるかを分析し、選定された品目について見積もりを行います。価格が合理的かどうかは気にせず、サンプルの送付も依頼します。
高い品質を安定して保てることが優れたサプライヤーの必須要件です。より詳細な評価を行うためには、これらの品質をどのように維持しているのかを理解することが重要です。また、単に価格が低いだけではなく、価格とバランスの取れた製品を提供できるか、見積依頼プロセスが品質とコストのバランスが取れているか、といった分析に基づいた評価が求められます。
輸入価格の算定では以下の部分を考慮します:
1. FOB価格:国際貿易取引の中でも最も一般的な貿易条件であるため、よく使われています。この価格には通常、貨物価格、輸送費、保険料などの要素が含まれています。
2. 海運費:多くの物流会社が存在するため、海上輸送の見積りを複数の物流会社から取得し、比較することが重要です。
一般的に、海運費は単に港の距離に基づいて判断されるわけではなく、物流会社の経験実績、倉庫の立地、商品の保管方法、サービスの内容港の距離、港間の貿易取引量を総合的に考慮して決定されます。
最低価格だけでなく総合的に比較して物流会社を選定します。費用見積書にはすべてのサーチャージが運賃に含まれている場合もあります。そのため、どのようなチャージが発生しているのかを見極め、正確に把握した上で適切な手配を行う必要があります。
3. 保険金額:保険金額は契約時に、CIF価額(船積原価+保険料+運賃)にその10%に相当する金額を加算した「CIF価額×110%」で設定するのが一般的です。
4. 関税:税関の情報は税関ホームページをご参照ください。
関税レポート 税関
5. 為替変動:サプライヤーは商品の価格は為替レート変動に応じて設定することが多いです。お見積もりのタイミングにより価格が異なる場合がございます。買い手と売り手の間で、為替相場の変動範囲やその範囲を超えた場合の対応策を契約条件に盛り込むことが重要です。
6. 通関費用:日本国内港への輸入には、事前に通関書類を準備する必要があります。通関費用は大まかにいくつかのカテゴリーに分けられます。
荷降ろし手数料や港の付加費、DTHC目的地港のターミナル操作費なども含まれます。費用はコンテナの大きさや貨物によって区別されます。届け先の国によっては、関税が課せられる場合があります。関税は国境を越える際に課される税金であり、国によって税率や課税対象が違います。さらに、一部の国では付加価値税などの追加費用も請求されることがありますので、注意が必要です。
一般社団法人 日本通関業連合会 通関業務料金表
7. 配達費用:ここではトラック運送費も含まれます。
8. 倉庫費、デバンニング費用 配達費用:
物流工程には、欠かせない作業が多くあります。輸入商品の荷降ろしや、海外拠点で生産した自社商品を国内の倉庫に移動する際には、さまざまな費用が発生します。例えば、デバンニング作業は重労働であり、通常複数人が作業に当たり、フォークリフトなどの機械を使用して貨物を移動させることがあります。この作業には人件費が多くかかることが一般的です。
一部の企業はすでにロボットによる自動入庫、仕分け、出庫手続きを導入し、効率を大幅に向上させています。
9.倉庫費、デバンニング費用:
物流工程には、欠かせない作業が多くあります。輸入商品の荷降ろしや、海外拠点で生産した自社商品を国内の倉庫に移動する際には、さまざまな費用が発生します。例えば、デバンニング作業は重労働であり、通常複数人が作業に当たり、フォークリフトなどの機械を使用して貨物を移動させることがあります。この作業には人件費が多くかかることが一般的です。
一部の企業はすでにロボットによる自動入庫、仕分け、出庫手続きを導入し、効率を大幅に向上させています。
上記の価格を総合的に計算し、工場への到着価格を算出します。これが製品の調達コストとなります。希望条件に合致してサプライヤーをERPに登録します。その後、ニーズに応じて選定したサプライヤーに対し、見積もりを依頼します。必要に応じて工場検査を行います。
3. 契約の締結
1. 契約はERPプロセスの前に締結します。
あらかじめ適切な手順を設定しておかないと、発注失敗や納期遅延などの原因となるため、事前の取り決めは極めて重要です。サプライヤーと連携して納期管理を行い、必要に応じて調達ルートや生産スケジュールを調整することも検討しておきましょう。
2. 契約の内容を確認します。契約審査や交渉を経て完成した契約内容について、当事者全員が合意します。契約を締結する前に、契約書の内容をしっかりと確認し、自社を契約トラブルのリスクから守る必要があります。内容が不明確な条項、自社にとって不利益な条項、過去の契約と整合しない条項、法律の強行規定に違反する条項、法令上の記載事項が漏れている条項など、修正すべき条項を見落とさないことが非常に重要です。
3. 短期的な売買を行う場合、為替変動や原材料価格変動を考慮しないことができます。優良なサプライヤーは、製品やサービスを安定的に提供するため、日々原材料の調達先を広く収集し、原材料価格の変動リスクを管理しています。また、複数の原材料サプライヤーと契約を結び、供給不足や価格変動に対するリスクヘッジを行っています。
4.商品の種類や価格、数量などを決定し、購買に関する契約を締結します。契約書には、法的な証拠能力を持たせるためには署名・捺印が必要とされています。
見積評価が完了したら、最適な条件で契約を交渉し合意します。契約が成立した後は、実際の発注手続きを行います。この前に、納期、生産費、検査方法、倉庫のスペースや生産状況、在庫数などを事前に確認しておきます。
4. 支払い方法
1. LC信用状支払い
国際貿易では、信用状(Letter of Credit, L/C)による決済が広く行われています。輸出業者は商品を船会社に引き渡し、信用状の条件に従った書類を準備することで、現地の銀行から迅速に代金を回収できます。開設銀行の保証により、輸出業者は買主の信用状態を確認することなく取引を行えます。これにより、輸出業者は安心して取引を進めることができます。
流れは以下です。
①. 信用状の発行
日本の会社(輸入業者)が日本の銀行に依頼して信用状(L/C)を発行します。
L/C開設銀行は信用状を発行し、それを輸出者の取引銀行(通知銀行)に送ります。
②. 信用状の通知
輸出者の取引銀行(通知銀行)銀行は信用状を受け取り、売主(輸出業者)に通知します。
③. 書類の準備
売主は信用状の条件に従い、必要な書類を準備します。この書類には、船荷証券(B/L)、保険証券、荷為替手形などが含まれます。
④. 書類の確認と買取
売主の銀行は、売主が準備した書類が信用状の条件に一致していることを確認します。
確認後、売主の銀行はこれらの書類と引き換えに荷為替手形を買い取ります。
⑤. 書類の送付と支払い請求
輸出者の取引銀行銀行は、書類と荷為替手形を日本の銀行に送付し、手形代金の支払いを請求します。
⑥. 代金支払いと書類引き渡し
日本の銀行(L/C開設銀行)は、輸入業者から代金の支払いを受け取り、書類を輸入業者に引き渡します。
商品の引渡し
輸入業者は、船荷証券を使用して船会社から商品を受け取ります。
2. TT電信送金支払い方法
Telegraphic Transfer Remittance。サプライヤーとの協議に基づき、電信送金支払いを選択できます。協力の基盤が確立されている場合、比較的便利で迅速な方法です。輸入側が合意された期日に銀行間の電信送金の方法で代金を支払う方式です。
3. D/P・D/A決済
輸出者は、船荷証券やインボイスなどの船積書類に加え、為替手形を振り出し、それらを取引銀行経由で輸入者の取引銀行に送付します。輸入者は、D/P(支払い渡し)の場合、支払いと引き換えに、D/A(引受渡し)の場合は手形の引受(支払確約)と引き換えに、船積書類を受け取ります。そして、受け取った船荷証券を使って船会社から商品を引き取ることができます。輸出者にとっては、船荷証券と引き換えに輸入者が支払いまたは支払確約をするため、TT送金(電信送金)よりも安心ですが、L/C決済(信用状決済)のような銀行の支払確約がないため、輸入者の支払いに対するリスクがあります。
工場検査
量産後、産開始後に様々なトラブルが発生する可能性があります。工場監査、工程監査は実際に中国工場を訪問して、現場の状況や書類の確認を行うことで不良等の異常の発生を未然に防ぐことです。中国工場監査は、日本国内工場監査と比較し、距離、言語、文化や制度が異なるため、難易度が格段に高くなります。
5. 海外調達の専門用語
• CIF(Cost, Insurance & Freight):運賃保険料込み価格
• CFR(Cost and Freight):運賃込み価格
• T/T(Telegraphic Transfer):電信送金
• D/P(Document Against Payment):支払渡し書類
• D/A(Document Against Acceptance):手形引き渡し
• C.O(Certificate of Origin):一般原産地証明書
• EMS(Express Mail Special):特急郵便
• G.S.P.(Generalized System of Preferences):一般特恵制度
• CTN/CTNS(Carton/Cartons):カートン
• PCE/PCS(Piece/Pieces):個
• DL/DLS(Dollar/Dollars):ドル
• DOZ/DZ(Dozen):ダース
• PKG(Package):パッケージ
• WT(Weight):重量
• G.W.(Gross Weight):総重量
• N.W.(Net Weight):正味重量
• C/D(Customs Declaration):通関書類
• EA(Each):各
• W(With):持つ
• w/o(Without):持たない
• FAC(Facsimile):ファックス
• IMP(Import):輸入
• EXP(Export):輸出
• MAX(Maximum):最大の
• MIN(Minimum):最小の
• MまたはMED(Medium):中程度
• M/V(Merchant Vessel):商船
• S.S(Steamship):蒸気船
• MTまたはM/T(Metric Ton):メトリックトン
• DOC(Document):書類
• INT(International):国際的な
• P/L(Packing List):梱包明細
• INV(Invoice):請求書
• PCT(Percent):パーセント
• REF(Reference):参照
• STL.(Style):スタイル
• TまたはLTXまたはTX(Telex):テレックス
• S/M(Shipping Marks):出荷マーク
• PRまたはPRC(Price):価格
• PUR(Purchase):購入
• S/C(Sales Contract):販売契約書
• L/C(Letter of Credit):信用状
• B/L(Bill of Lading):船荷証券
• FOB(Free on Board):本船渡し価格