盛大に祝われた「CHINESE NEW YEAR」(春節)が過ぎると、本格的な春の始まりとされています。
中国で年末の風物詩として注目を集める『中国春節聯歓晩会』(春晩)は、日本の紅白歌合戦のように国民的行事となっています。
2025年1月28日は、中国では大晦日にあたる「除夕」でした。
春晩を通じて見る中国経済の動向

「中国経済の動向」というテーマは非常に大きなものです。このテーマについて話す適任者といえば、経済評論家や経済学者をおいて他にないでしょう。
しかし、ここではあえて経済の専門家ではない私なりの視点で、1月28日にリアルタイムで視聴した春晩を通じて、このテーマに挑んでみたいと思います。



白酒ブランドの存在感
数十年の間に、毎年春晩広告を見続けてきましたが、最初は画面を埋め尽くすほど大量の白酒の広告を表示することに驚きました。今ではすっかり慣れてしまいました。
白酒広告はほぼ毎年、春晩の広告の約3分の1を占めています。今年も例年通り、3分の1が白酒関連CMでした。さらに、放映順も例年とほぼ同じでした。
古井貢酒(グージンゴンジョウ):番組冒頭(プレロール)
梦之藍(モンジーラン):時報CM
茅台(マオタイ)・五粮液(ウーリャンイエ):番組中盤(ミッドロール)
これらのブランドを中心とする白酒業界は、長年にわたり春晩CMで圧倒的な存在感を示し、業界を牽引し続けています。
おそらく、私はこれからも春晩を見続ける限り、白酒ブランドの広告は変わらず登場し続けるでしょう。


復活したインターネット業界
かつて春晩で、微信(WeChat)、アリババ、美団(Meituan)などのインターネット企業のCMを見たとき、多くの人が、インターネット業界の将来性に対して成長と拡大への大きな期待を寄せていました。しかし、その後しばらく春晩CMから姿を消していましたが、今年は再び春晩に戻ってきました。
小紅書(Xiaohongshu)も2024年に続き、春晩広告に登場しました。『2025年春節聯歓晩会』の(筆記分享)ソーシャルプラットフォームとして独占スポンサーとなりました。
アリババグループは、支付宝(Alipay)、淘宝(Taobao)、阿里云(Alibaba Cloud)の3つを広告に投入。特に注目すべきなのは、阿里云(Alibaba Cloud)の広告です。
その内容は阿里云AI(Alibaba Cloud AI)であり、春晩の広告に人工知能(AI)が登場するのは今回が初めてでした。
「新質生産力」とAIの台頭
中国2024(第七届)年度経済大会では、初めて「新質生産力」がテーマとして取り上げられました。これは、例えば人工知能(AI)や自動運転技術を活用することで、人々の暮らしは大きく変わり、経済成長を遂げていく新しい経済発展モデルを指します。
現在、中国経済における注目のトレンドワードとなっています。
1月27日、日本の東京株式市場で半導体やAI関連株が急落しましたが、そんな中、最近話題の中国の新興AI企業であるDeepSeekは象徴的な存在として浮上しています。
私自身もダウンロードしてみて実際にDeepSeekを使ってみました!驚異的なスピードで情報を収集する力、人間に近い認知能力、そして人が日常的に使う自然言語力といった特徴を備えており、進化したAIを身近に感じるようになりました。
中国で楽しまれている国民的なテレビ番組『中国春節晩会』にAI広告が登場したことで、本格的なAI時代の幕開けを感じさせられました。

前半は一旦ここまでとなります。後半では、引き続き2025年春晩CMを通じて、中国経済の動向や全体像をわかりやすく、俯瞰できるような記事を書いていこうと思います。
中国ビジネスに関わる皆様が、中国ビジネス感覚を身につけるとともに、中国マクロ経済の動向を概観する基準として役立つ内容を作っていきたいと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。それでは、「後編」もお楽しみに.......

当サイトの記事は、スタッフが一つ一つ時間をかけて丁寧に執筆しております。
使用や転載をご希望の場合は、事前にお問い合わせフォームよりご連絡ください。無断転用・転載はご遠慮いただきますようにお願いいたします。